うちの近くにも桜並木がある。
散歩がてらにカメラを構えていると、犬を連れたおじいさんに声をかけられた。
「写真がお好きですか?」
はい、好きです。
「桜はとても難しいんですよね。光加減で全然表情が変わる。」
そうですね、こんなにきれいなのに、それがうまく伝わらない。
「よかったら、そこの桜を撮った写真があるから、見ていきませんか?」
え!?いいんですか?
「ええ、もしお時間あれば是非見て行ってください。私、写真が趣味でしてね。」
そんな感じでおじいさん宅にお邪魔して、
彼の撮った写真をいっぱい見せてもらった。
とても物腰の柔らかな方で、
でも写真に対する熱い思いがとても伝わってきて、
彼の写真からは優しさがあふれ出ていた。
「自分が素直に美しいと感じたものは、
自然とその思いが一緒に写真の中に現れるんですよ。」
桜の下で起こった、素敵な出会い。